Soul Station
by Hank Mobley
音楽をジャンル分けするのは、カテゴライズという意味では良いかもしれませんが、あらぬ誤解を生んでしまうこともあります。
たとえば、あるミュージシャンのアルバムを聴いてみると、その中にはポップな曲、バラード、ハードなロック調の曲など、様々な曲で構成されていたりしますよね。
それでも、そのミュージシャンが「J-POP」にカテゴライズされていれば、そのミュージシャンの曲はすべて「J-POP」と呼ばれるわけで。
こうした風潮は個人的にはあまり好きではありませんが、物事を分かりやすくすると言う意味では、こうしたカテゴライズの必要性も理解しないわけではありません。
ジャズを聴いたことのない人に
さて、今回のテーマは「ジャズ」です。
日本でも1960年代には一世を風靡した音楽ジャンルでしたが、最近ではすっかりなりを潜め、一部のファンのための音楽のような扱いになってきているのは残念でなりません。
それでも、普段ジャズなんて全く聴かない友人に私のお気に入りのジャズを聴かせたりすると、
お、いいね、なにコレ?
みたいな反応が返ってくることが多くなってきている気がします。
みんな「喰わず嫌い」なんだな、なんて勝手に納得しているわけですが・・・・・・
普段ジャズを聴かない人がジャズを聴こうとした場合、最初にぶつかる壁は
何から聴けば良いの???
ということでしょう。
はっきり言って、ジャズを聴いたことのない人がいきなり聴いてはいけないジャズ、というのも正直あります。
たとえば、エリック・ドルフィやオーネット・コールマンなどのフリージャズと呼ばれる人たちのアルバムを最初に聴いてしまうと、二度とジャズを聴くことなく一生を過ごす人になってしまう可能性大です(笑)
これは、スキーの初心者をいきなり急斜面の上に連れて行って突き飛ばすようなものです。
スキーを好きになって貰いたいなら、絶対にやらないですよね、こんなこと。
基礎から丁寧に教えていって、徐々にスキーの楽しさを感じて貰うのが、スキー初心者に対する対応でしょう。
ジャズも同じです。
最初は抵抗なくすんなりと聴くことが出来て、それでいて十分にジャズの楽しさが分かるアルバムから聴かせる。
ジャズの醍醐味である「アドリブ」や「チェイス」などの面白さを感じ始めたら、ちょっと過激なアルバムを聴かせてみる・・・・・・
と言うわけで、今回はジャズを初めて聴く人でもすんなりと聴けるアルバムを紹介しますね!
それが、ハンク・モブレーです。
この人のアルバムなら、はっきり言ってどれを聴いても危険(笑)はありませんが、どうせ聴くならプレー内容が秀逸な「Soul Station」がいいでしょう。
演奏のクォリティ、アドリブのキレともに、彼のアルバムで最も優れているといっても間違いないアルバムです。
この人の演奏はよく「超2流」と言われます。
これって褒め言葉なのかけなし言葉なのかよく分かりませんが、この「超2流」という表現、この人に最もピッタリくる言葉だな、と思います。
決して一流のプレーヤーではないけれど、二流の中ではダントツ(笑)
料理に例えれば、B級グルメグランプリ、みたいな。
フレンチやイタリアン、和食懐石みたいな高級重厚なものではないけれど、誰からも好かれる万人受けする絶品料理。
そんな感じです(笑)
言葉を尽くして紹介するよりも、是非一度聴いてみてください。
ジャズを好きになること請け合いですよ!